2023年8月16日水曜日

XERION のMEX(FFF)特許を掘り下げる

XERION Berlin Laboratories GmbHが取得した特許について掘り下げてみる。英語タイトルは、「APPARATUS FOR DEBINDING AND SINTERING A WORKPIECE」意訳すると「積層造形体の脱脂および焼結のための装置」

装置に関する特許。MEX用フィラメントは市販のBASF-POM系フィラメントを使うもので、特徴は、触媒脱脂に硝酸ではなくシュウ酸を使い、「カートリッジに入れた粉末のシュウ酸を昇華させて脱脂・焼結炉へ供給させるシステム」が請求項のようだ。焼結ガスは、真空、N2N2H2

 なぜ、硝酸ではなくシュウ酸なのか? ①シュウ酸は天然に存在し多くの植物に含まれており安全性が高い。②液体にして使う硝酸より粉末シュウ酸(カートリッジ)の方が使いやすく安全性が高い。③シュウ酸を使った触媒脱脂による副生成物は環境に害を及ぼさない。④処理時間は硝酸による脱結合とほぼ同等。⑤硝酸はCoと反応するがショウ酸は反応しないのでFe/Co系鋼への展開性がある。 

現在供給されている金属FFFは3種類で、BASFフィラメント(SUS316LSUS630)、純銅である。 

【珈琲ブレイ句】どんな特許なのかと思いましたが、装置に関するもので新規性はあまりなく応用的な特許でした。脱脂速度は硝酸と同等とありますが、シュウ酸の速度は硝酸の35割減の可能性*1があります。それにしても、XERIONが提案する The Fusion Factory XSは、持ち運びできる工場がコンセプトで、3つのトランクケースで構成されておりカッコイイです。XERIONのHPの広告写真から受ける印象は、「戦場でMetal AMを活用する」です。MIM-Like AMの技術応用編がもの凄いことになってきました。

*1 BASFジャパン、村山、粉末の射出成形研究会編、粉末の射出成形技術1996P81

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