2019年12月12日木曜日

なぜ溶媒脱脂をリスペクトしているのか

【珈琲ブレイ句】どっぷりと加熱脱脂の量産も経験しましたが、やはり溶媒脱脂の方が好きです。理由は、「溶媒脱脂には飽和点があるから」です。

例えば、異なる二人から部屋の掃除を依頼されたとします。一人は「塵ひとつ無いように掃除してくださいね」といわれ、もう一人は「ゴミや埃を20%だけ残すように掃除してくださいね」と頼まれたら、どちらの仕事が楽でしょうか?

この例では、前者が溶媒脱脂、後者が加熱脱脂による一次脱脂工程に相当します。

飽和とは「saturation」で、現場の言葉では「サチル」ということです。溶媒脱脂では、溶媒に溶けるバインダーが完全に溶け切る時間が飽和点になり、この点以降どれだけ時間を掛けても脱脂重量は下がりません。製品の最大肉厚に相当する脱脂時間以上にすれば正確に脱脂率を管理することができるのです。

ちなみにBASF法にも飽和点があります、POMしか硝酸に反応しないためです。こちらも品質管理は容易ですね。

第4.3.1 1次脱脂の種類と長所短所
図4.18 自己蒸留機能付き湧出溶媒脱脂装置概念図

2019年12月10日火曜日

溶媒脱脂は嫌われているのか

私は溶媒脱脂肯定派のひとりである。その理由? それは品質がたいへん良いから、特に焼結体の最終化学成分のコントロールがきる脱脂法の一番手、金メダルだと考えているからである。化学成分が保証できないと望む機械的性質は得られない「名ばかり金属*1」になってしまう。ハイスペックMIMを目指すなら溶媒脱脂が必須であろう。(補足:BASF法も良い、ハイスペック向き。)

国内ではどうも溶媒は嫌われ者のようだ。新規に溶媒脱脂は行わないと決めたMIMメーカーに出会ったり、AM3Dプリンターの溶媒脱脂装置も導入の足かせになっているような話を聞く。

もし国内から「ノルマルヘキサンによる溶媒脱脂がなくなったらどうなるか」

ノルマルヘキサンによる溶媒脱脂がなくなったら→《サラダオイルがなくなる》

サラダオイルはノルマルヘキサン溶媒脱脂で造られている。食品企業に学べば問題解決は簡単ではないのか。

*1 名ばかり金属: JIS規格の粉末を使ったMIMだが、MIM焼結体の化学成分がJIS規格から外れているもの。バインダーが残留して炭素になったり、酸化・還元で酸素と炭素が変動したり、ある種の金属Crなどが蒸発減少したり、触媒脱脂でCoが減少するなど。

【珈琲ブレイ句】
解決のキーワードは「密閉」「蒸留再生」ですね。
水を使った脱脂に変更する。ただし、非鉄向き、錆に注意。


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2019年12月9日月曜日

島津MIM用脱脂焼結炉を少し掘り下げる

島津産機システムズのMIM用脱脂焼結炉をなぜリスペクトしているのか。

それは「炉体内部を汚染しないように工夫されている」から。

焼結体を入れる箱を「タイトボックス」と呼んでいる。直訳すると「密閉された箱」。脱バインダーのガス類を密閉し炉外へ排気することを意味している。N2やArは炉内に入ると、断熱材→タイトボックス→ワックストラップ→真空ポンプというルートを通る。決して逆流させない設計思想*1 だ。

量産で困るのが、炉内のコンタミ汚染、特に断熱材の汚染は深刻である。

炉内コンタミが多いと次のような現象が発生する。焼結体表面が灰色や白色になる。この着色がアルミナセッターの蒸発物の場合、昇華コーティングであり、除去が大変になる。

*1 特許明細書の要約:真空脱脂焼結炉が、脱脂時にタイトボックスの外部に微量のガスを導入しつつタイトボックス内部から排気することにより減圧雰囲気とし、脱脂後、先の脱脂時にタイトボックスから漏出したバインダを炉体内部の低い位置から排気もしくは排液することにより炉体内の脱ガスを行なうため、脱脂時には処理物を迅速に処理でき、脱脂後にはタイトボックス内部のクリーンな雰囲気を優先的に確保した上で炉体内部に残存するバインダを液相または気相の状態で外部に排出できる。


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