2019年12月9日月曜日

島津MIM用脱脂焼結炉を少し掘り下げる

島津産機システムズのMIM用脱脂焼結炉をなぜリスペクトしているのか。

それは「炉体内部を汚染しないように工夫されている」から。

焼結体を入れる箱を「タイトボックス」と呼んでいる。直訳すると「密閉された箱」。脱バインダーのガス類を密閉し炉外へ排気することを意味している。N2やArは炉内に入ると、断熱材→タイトボックス→ワックストラップ→真空ポンプというルートを通る。決して逆流させない設計思想*1 だ。

量産で困るのが、炉内のコンタミ汚染、特に断熱材の汚染は深刻である。

炉内コンタミが多いと次のような現象が発生する。焼結体表面が灰色や白色になる。この着色がアルミナセッターの蒸発物の場合、昇華コーティングであり、除去が大変になる。

*1 特許明細書の要約:真空脱脂焼結炉が、脱脂時にタイトボックスの外部に微量のガスを導入しつつタイトボックス内部から排気することにより減圧雰囲気とし、脱脂後、先の脱脂時にタイトボックスから漏出したバインダを炉体内部の低い位置から排気もしくは排液することにより炉体内の脱ガスを行なうため、脱脂時には処理物を迅速に処理でき、脱脂後にはタイトボックス内部のクリーンな雰囲気を優先的に確保した上で炉体内部に残存するバインダを液相または気相の状態で外部に排出できる。


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