例えば、異なる二人から部屋の掃除を依頼された。一人は「塵ひとつ無いように掃除してくださいね」といわれ、もう一人は「ゴミや埃を20%だけ残すように掃除してくださいね」と頼まれた。どちらが楽であろうか?
この例では、前者が溶媒脱脂、後者が加熱脱脂による一次脱脂工程に相当する。
飽和とは「saturation」で、現場では「サチル」ということがある。溶媒脱脂では、溶媒に溶けるバインダーが完全に溶け切る時間が飽和点になる、この点以降どれだけ時間を掛けても脱脂重量は下がらない。製品の最大肉厚に相当する脱脂時間以上にすれば正確に脱脂率を管理することができる。
ちなみにBASF法にも飽和点がある、POMしか硝酸に反応しない。
第4.3.1 1次脱脂の種類と長所短所
図4.18 自己蒸留機能付き湧出溶媒脱脂装置概念図