私がSS系バインダーと呼んでいるものは加熱一次脱脂工程を省略してMIM用真空脱脂焼結炉(SHIMADZU炉)を使い「1工程」で「一次二次脱脂・焼結できるフィードストック・バインダー」のことである。つまりこの「1工程」が「SS:シングルステップ」の語源である。この呼び名は、1997年代に仲間内で使っていたが、後日、登録商標出願されており、正式には「シングルステップシステム®」*1とのことである。こちらは「POM系樹脂バインダー」と同義である*2。
一方この流れとは別に、SS系バインダーが存在する。それは、第一セラモのフィードストックである。ほぼ同年に特許出願されており、POMを使わない独創的なものである*3。請求項の最大の売りは「自社合成した複合アクリル系樹脂」を採用したところ。さすが製薬会社の流れをくむ会社だけあって化学技術力がある。 このように「SS系バインダー」はPOM系樹脂バインダーだけではない。 どちらも使ったことがあるが、品質では甲乙つけがたく、どちらにも長所短所がある。
*1 IHIの商標でしたが、2023年5月に確認するとフリーになっていました。
*2 POMを90%使っているBASF法は土俵が違う別物です。
*3 現在は、脱脂変形低減目的で少し?POMが入っている特許も持っている。
《おしらせ》
勝手ながらSS系バインダーの呼び名を次の様に(勝手に)改名します。2020/06/24
三段階順次加熱脱脂法(Three-step sequential thermal debinding)
略名:3-STD法