2022年10月10日月曜日

なぜ溶媒脱脂推しなのか説明します

 【珈琲ブレイ句】私の好きな一次脱脂法は、溶媒脱脂です。触媒脱脂も同じ理由で好きですが、お手軽な溶媒脱脂が一位です。溶媒脱脂には、水ではなく溶媒を使うことで簡単に蒸留再生することもできるのです。二位が触媒脱脂、そして三位が3STD法(三段階加熱脱脂法:一次脱脂工程を省略できる大変すばらしい技術)です。そして四位が従来の大気加熱脱脂法です。

なぜ、すばらしい3STD法が一位にならないのか? その理由は、「カーボンコントロールが難しい」ところです。こんな大失敗を経験しました。厚さ3mm程度の浸炭用鋼(C=0.15%)のMIM部品を量産で数千個おじゃんにしたことです。生産試作までは完璧でしたが、量産へ移行し安心していた時にそれは起こりました。数ロット連続で炭素上限規格NG(C=0.3%)を出荷していたのです。原因は、脱脂焼結炉の設備管理の問題でした。すこしでも排気能力が低下するとカーボンが焼結体に残るのです。量産製造現場で、真空ポンプやワックストラップおよび排気系統を完璧に日常管理するのは苦しいのです。それ以来、カーボンコントロールが必要な鋼種での3STDバインダーは量産標準バインダーから外しました。小さなステンレス部品での3STD法は百人力なのですが完璧ではないのです。

さらに、チタン合金や超合金の一部では、溶媒脱脂、触媒脱脂を推奨します。理由は、一次脱脂を完璧に行う必要があるためです。チタンやアルミ等の活性金属の一次脱脂は、論文やトップMIMメーカーの実績をみても、溶媒脱脂(水脱脂含む)と触媒脱脂が採用されています。


【BLOG目次】

【MIM指南書】

【MIM技術伝道士HP】


2022年10月9日日曜日

射出圧縮成形はMIMに使えるのか?

射出圧縮成形とは、射出成形において金型型締め動作を利用し、射出完了直前のタイミングで金型キャビティを加圧する射出成形と加圧成形の複合技術である。CDやDVDの微細形状の転写に使われている。特徴は次の通りである。円板で中央ゲートの成形体の実験*1の場合、一般射出成形と比較して金型内圧の平均は約半分になり、さらに分布が均一になる。そのため、成形収縮率も均一になり成形体(円板)の肉厚が均一になる。

【珈琲ブレイ句】MIMで使いたいと考えている技術のひとつです。それは本来の目的と違うのですが、製品設計でどうしても対策が打てないときの最後のアイデアです。その課題とは「ゲートフリーズする肉厚品のヒケ防止」で、その対策に射出成形圧縮が最後の対策手段に成りえます。具体的には、保圧の代わりにキャビティの一部を加圧に使う局所加圧というアイデアです。他の効果としては「ガス逃げ」の作用は絶大なので、ガスの巻き込みや断熱圧縮による焼けの対策に使えることでしょう。課題は2つ。①キャビティ可動部の摺動可能な嵌合設計と②射出と型締めのタイミングをとる方法をどうやって確立するのかですね。大型の肉厚部品や大きな薄物部品のMIMに展開されることを期待しています。

*1 射出圧縮成形における樹脂流動性について、斎藤、松本、阿部、成形加工 第10巻 第6号 1998 P389


2022年10月1日土曜日

工具鋼こそMIMの差別化材料だ!

 【珈琲ブレイ句】昔々、一万回転で動く機械が開発された。その摺動部品は普通の鋼では耐えられなかった。そこで耐摩耗材料探しが行われた。そして耐久試験で残った最後の材料がダイス鋼だった。量産準備として素形材を鍛造で試作した。しかし大失敗。鍛造金型が割れるためだ。仕方が無く削り出しで量産初期を乗り切り、次の量産材としてロストワックスを選んだ。しばらくすると潜在的問題が浮上する。それは、工具鋼を工具鋼(HSS,WC)で加工するので、すぐに高価なエンドミル等が摩耗してしまう。加工する量を減らすニーズが出てきた。最後にたどり着いた素形材がMIMである。(その後、自分がMIMの技術者に転身するとは面白いものである。)今、改めておもう。超耐久部品の材料に、高速度鋼(ハイス、粉末ハイス)、SKD(ダイス鋼)を選べば、ほぼ間違いない。ニアネットシャープのMIMがその素形材に適任だ。工具鋼こそMIMの差別化材料だ!

注意:開発設計者は、工具鋼を造れるMIMメーカーを探す必要があります。キーワードは、球状炭化物、炭素量(脱炭の有無)、カーボンコントロール技術、超固相液相焼結(SLPS)

【日曜MIM知るINDEX】 【MIM指南書の部屋】 【MIM技術伝道士HP】