米国のフィードストックメーカーR社がすごい。
なにがすごいかというと、その種類と品数。
すべての脱脂法に対応するバインダーと金属材種を揃えている。
アマゾン方式を彷彿とさせる
その物量で世界の他社・弱小フィードストックメーカーを駆逐する戦略でしょうか・・・・
対応する脱脂法グループは3つ
①水脱脂
②触媒脱脂(BASF系)
③溶媒・加熱・超臨界脱脂
統計:品数を観ると
①107種類(14%)
②237種類(32%)
③408種類(54%)
やはり、歴史のある③溶媒脱脂、加熱脱脂の品数が多いです。
材種をざーっと眺めての気づき・・・・
・水脱脂の材種に、超合金INCO718やTi6Al4Vなどが散見される。化学成分規格が厳しいものに採用されるようだ。
・触媒脱脂にヘビーメタルがない。WC-CoのCoが硝酸と反応するためと推察します。
・同じ材種でもバインダー量を調整したものがいくつもあり、金型収縮率に合わせた客先要求に対応しているようです。靴に足を合わせるのはたいへんですね。でもここまで種類があると自分の足にあった品はありそうです。在庫1種200万円として全752種だと15憶円の品揃えになります、あっぱれ!! 『RYER』
BASF法(Catalysis)がすごいのは脱脂能力がピカイチなのです。
触媒反応でPOMを表面から分解していくので、
脱脂速度が ほぼ一定 2mm/H である*1*2ところ。
他の脱脂(溶媒、加熱)は、肉厚の二乗に比例して脱脂時間が長くなります。
BASFの長所はほかにもあり
・ほぼポリマーだけのバインダーなので脱脂変形が少ない
・大きなものができる
・バインダーを完全にバーンアウトできるので残渣成分がない
欠点は、
・ポリマー主体のバインダーなので成形が難しい。
恐怖の金型温度100℃超え (ロボットハンドリングなら恐怖ではない)
・硝酸、シュウ酸がある特定の金属を腐食させる恐れがある。
これらの溶液は腐食液として使われている
・リターン回数が極端に少ない。
完璧なMIMバインダーシステムはないのです。人間と同じです。
*1 Injection Molding of Metals and Ceramics by Randall M.German & Animesh Bose P197
*2「発煙硝酸で金属(Fe,FeNi)の場合、脱バインダ速度は1~3mm/H ただし、FeCoは反応が頭打ちになる、Coが硝酸と反応するため」 粉末と射出成形技術1996 BASF 村山 P71
ジャーマン先生の本 脱脂一覧表にある「Oxidation酸化」が気になったので少し調査した。
脱脂で酸化させるとは、その目的と効果は?
銅のMIMでいくつか論文を見つけた。
《まとめ》
・真空中で酸化させずに脱脂したものは還元雰囲気焼結で全く焼結が進行しない
・それは、水素と酸素が反応し「H2O」ガスが発生して密度が向上しない
・また、炭素が多いと銅は焼結が進行しない。
・そこで 脱脂酸化(大気中)で「炭素を減らす」C+O→CO反応(C+2O→CO2の可能性もある)
・その時のポイント、脱脂酸化温度を300~400℃にすると、酸化銅が針状になる(CuO whisker) 200℃から酸化し500℃で酸化銅は針状から平たんになる
・この「針状酸化銅が焼結の起点となる」ので
・焼結密度が90%を超える(D50=10μm 焼結温度1000℃ 還元雰囲気中で焼結)
《感想》
銅のMIMは製造が大変です。炭素を減らすために酸化させて、焼結前に酸素を還元で除去する。ポイントは酸化銅を針状にすること。
インフラとしては 大気脱脂、水素還元焼結炉が必要だということですね。 焼結温度も低いし専用炉の方がよいかも・・・鋼粉末が混入すると厄介なので製造現場も別管理になるのでしょうか・・・・・・
エプソンアトミックスでは無酸化銅に匹敵する純銅MIMを売り出しています。確かに「当社独自のMIM焼結技術により含有酸素量をコントロール」と書いてあります。独自技術って?