2022年12月28日水曜日

MIM成形技術の最適化研究(品質工学)

 品質工学(タグチメソッド)を使った研究報告の概要を記録する。

《実験計画》直交表:L18、制御因子:混錬温度、バインダー割合、金型温度、射出速度、射出圧力、射出筒温度、焼結昇温速度、焼結温度、誤差因子:同一ロット間バラツキ、特性値1:成形体のヒケ(望小特性)、特性値2:引張強度(望大特性)

《コンパウンド仕様》金属粉末:SUS316L、平均10μm、<20μm、水アトマイズ粉末 バインダー:混合ワックス:PMMA=1:1、バインダー量:9,10,11wt%

《結果》特性値1ヒケ:バインダー量だけが有意で、バインダー量が一番少ないものがヒケが少ない。 特性値2引張強度:混錬温度、金型温度、昇温速度、焼結温度の効果が大きい。特に焼結温度が高い程引張強度が高い。(脱脂:ウイッキング大気400℃、焼結:真空1250~1350℃)

《確認実験》最適条件(焼結温度1350℃、昇温速度10℃/h等)の結果、ヒケ18μm、引張強度408MPa

文献:鹿児島県工業技術センター研究報告No.13(1999)、岩本竜一、森田春美、南晃

【珈琲ブレイ句】実験はCIM用の混合ワックス(セルナNE119)とアクリル樹脂PMMA(ダイナールBR105)を140~150℃で脱気しながら攪拌溶解してから金属粉末を3回に分けて混錬しています。一般的なMIMのバインダー量よりかなり多めなのが気になりますが、ヒケに対してバインダー量が少ない方がよいという結論は納得できます。引張強度では焼結温度の一番高い1350℃で最大値を示しています。面白い結果としては、昇温速度5,10,15℃/hの中では中間の10℃/hで引張強度が最大化しているところです。

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2022年12月21日水曜日

PAとEVAのブレンド研究

MIMフィードストックに多用されているPA(パラフィンワックス)とEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)のブレンドに関する論文を掘り下げ結論だけ記録する。製造されたMIMフィードストック組成は、PA,EVA、SA1wt%、結合剤(内容不明)、SUS316L粉末D50-8μm、SL:53VOL%。実験変数:PAとEVAの配合%

《結果》◆PAとEVAのブレンド品だけの曲げ弾性率(ヤング率)は、EVA=35wt%のときに最大(165MPa)になる。ちなみにPW100%とEVA100%のヤング率はどちらも約90MPa。◆MIMフィードストック(EVA35wt%)のヤング率は1635MPa ◆金型温度が高い方が、MIM成形体のヤング率が高くなる。型温度-ヤング率:20℃-1378MPa、30℃-1454MPa、40℃-1623MPa

文献:The Crystallization Behavior and Machanical Properties of Poly and Parafin Wax Blend , Jim Kon and Byoung-Kee Kim,粉体粉末冶金第46巻第8号(1999年8月)P823-829

【珈琲ブレイク】不思議ですね。PA、EVA単体だとヤング率がともに60MPa程度なのにブレンドするとEVA35wt%のとき最大化してヤング率が約2.7倍になるという報告です。個人的にEVAを使うMIMフィードストックが好きなので「やっぱりな!」という感想です。ヤング率が高いと言う事は成形体が固く曲げ変形に強いということです。ほかにも、EVAがホットメルト接着剤に使われていることからも分かるようにEVAの結合力は信頼性が高いのです。でも欠点もあります。それは加熱脱脂で残渣が残りやすいことです。・・でも一次脱脂を溶媒脱脂(沸点が高い溶媒厳守、塩化メチレンはNG)にして完全にEVAを除去すれば問題は回避できます。

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2022年12月10日土曜日

MIM Like AM MEXの改善すべき課題を妄想する

 MIMとほぼ同じ構成(微細粉末+バインダー)の積層材料を使うMEX(FFF、FPF、FDM)には共通する課題がある。それは、積層方向の引張強度の差、積層体の密度の確保が難しい(保圧が効かないため)等である。さらに、新たな潜在的課題に気が付いたのでここに備忘録として記録しておく。

その課題とは、積層材料とくにフィラメント自体の緻密性が確保されていること。つまり、微細な気泡が内在せず、理論フィードストック密度であること。現在市販されているMEX積層装置には、積層材料をノズル直前で圧縮混錬する機能が付いていないため脱気されない。材料内の気泡(ガス)がそのまま積層されてしまうのである。

【珈琲ブレイ句】現在市販されているフィラメントがどのように造られているのかわかりませんが、圧縮混錬で脱気された後にフィラメント化されていてほしいと願うばかりです。つまり高圧縮比をもつスクリューで、完全脱気しながらフィラメントを造る装置であることが理想です。あるいは、将来こんなMEXが登場するかもしれません? ミニ射出成形機(高圧縮スクリュー内蔵)をノズルににした積層装置です。価格は高くなりますが上記課題は解決できるはずです。

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