2023年9月6日水曜日

マシニングセンタとMEXが融合した金型製造システム

Mantle社(サンフランシスコ)の試作機がユニークである。同社は金型キャビティブロックの製造を目的とする、マシニングセンタとMEX積層装置を融合させたハイブリッド装置「P200」と脱脂焼結炉「S200」を発表した。

モデル設計:3D-CAD、補正係数、収縮オフセット

グリーン製造(P200マシニングセンタ with MEX、200×200×150mm):MEXで積層(約100μm/層)→10層ごとに加熱・乾燥→CNC加工(工具は10種類)、約8時間

MEX材料:流動性金属ペースト(1リットルのチューブ)、H13(SKD61)と2X (P20 相当)の調合合金、バインダーは熱硬化?(あるいは光硬化?)

シルバー製造(S200脱脂焼結炉):脱脂焼結、30~40時間

出来上がったキャビティブロック(精度は1インチ当たり1000分の1インチ)を、金型本体に装着させる。


【珈琲ブレイ句】マシニングセンタとMEXを合体させたアイデアが斬新です。金型キャビティブロック(1個)を3日間で製作できる可能性があるのです。このシステムのメリットは「冷却チャネルの形成が自由にできること」「グリーン体の加工なのでフライス加工による残留応力がほとんどないこと」さらに「フライス加工工具の寿命がメチャクチャ長くなること」でしょうか。アイデアはほんとうに面白い!!実際に試作機を創ることが重要です。さすが米国!! あっぱれ。

蛇足:写真から読み取った収縮率は約5.5%でした。これが本当なら焼結体の密度はかなり低いと推察されます。また、精度が1インチ当たり1000分の1インチが本当だとしても、金型キャビティ(可動と固定)の合わせは追加工(研削)が必要でしょう。また、EP突き出し用の穴明も追加で発生します。さらに、H13を空気焼入れ・ダブルテンパーすれば酸化被膜の問題も発生するような?? 実用化までにはいくつもハードルがあるように感じました。でも、この装置を創った人達のチャレンジ精神が大好きです